NAO鍼灸院

女性が気になる症状

もくじ

①生理痛(月経痛)
②更年期障害
③冷え症

①生理痛(月経痛)

原因と症状
《生理(月経)前》
 排卵後、女性ホルモンの一つ黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量は急激に増えます。そして、受精卵が着床せずに生理が起こると一気に減ります。この大きな変化で、身体をコントロールする自律神経がバランスをくずし、頭痛や胃痛、イライラなどの不調を引き起こします。
また、黄体ホルモン(プロゲステロン)は、乳腺を発達させる、体温を上げる、体内の水分を引き出すなどの作用もあるため、乳房が痛くなったり、だるさや下半身のむくみも起こりやすくなります。
生理の1~2週間前から生理が始まるまであらわれるこれらの症状は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれています。

痛みなどの不調の要因 …プロスタグランジン
「プロスタグランジン」はホルモンに似た物質で、子宮を収縮させ、子宮への血流を減少させ、子宮内の神経を痛みに敏感にさせる作用があります。
その他にも痛みの発生、免疫やアレルギー、睡眠にも関連することが知られています。

~起こりやすい不調~ 
・下腹部の鈍痛やキリキリした痛み
・めまい
・吐き気
・下痢 etc

《生理(月経)後半》
 骨盤を中心に血液の流れが悪くなり、下腹部の鈍痛や腰回りの重苦しい感覚を引き起こします。

痛みなどの不調の要因… うっ血(血液の流れが滞ること)

~起こりやすい不調~ 
・下腹部鈍痛
・腰のだるさ
・冷え
・むくみ etc

月経困難症とは?
 月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合を月経困難症といいます。
腹痛が強いため、鎮痛剤が必要であるとか、仕事ができないような場合は月経困難症といってよいでしょう。
腹痛、腰痛、悪心(気持ちがわるくなる)、嘔吐、いわゆる貧血(血液がうすくなっているわけではないがフラフラする)、頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。
月経困難症には下記の2種類あります。
原因
機能性月経困難症 特にこれといった病気がなく起こる月経痛
器質的月経困難症 子宮筋腫子宮内膜症などの病気によるもの

病院に行くのなら

 婦人科もしくは産婦人科が専門になります。
生理痛が強い場合には、器質的月経困難症(子宮筋腫・子宮内膜症など)が原因としてある場合も多いので、あまりにも痛みが強い場合には一度病院にて検査を受けたほうがよいでしょう。
月経痛(生理痛)は、子宮内で月経血を押し出そうとするホルモン(プロスタグランジン)の働きによるものです。このメカニズムは、陣痛とほとんど同じなので、多少の痛みは生理的な現象です。
しかし、月経痛によって、仕事や学業能率の低下や生活に障害が出る場合は、婦人科で検査を受けるタイミングです。
それに、年単位で痛みが増強する場合、月経時以外に疼痛がある場合も、婦人科に相談しましょう。

自分でできる解消法
 ⑴適度な運動は月経痛軽減に効果があります
 骨盤の血流の流れがうっ滯する「うっ血」は、月経痛を強くすることにつながります。
これを改善するために適度な運動は有効です。月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミング、あるいはヨガやエアロビクスなど、を行いましょう。もっと簡単な全身の屈伸運動などでも効果があります。

 ⑵冷やさないこと
 特に下腹部と仙骨部を冷やさないことが大切です。腹巻・ホッカイロなどで下腹部と仙骨部を温めることがをおすすめします。

 ⑶食事内容と生活習慣の改善
 食事内容や生活習慣により、ホルモン分泌なども関係してきます。なるべくリラックスすること、鉄分やタンパク質を摂取することなどが挙げられます。

鍼灸院での治療 
 鍼灸治療は自然治癒力を増進させる治療ですので、筋緊張緩和・血流改善・自律神経の安定化・ホルモン分泌を整えるなどの効果があります。筋肉の固い人・冷えの強い人・イライラしやすい人・生理周期が乱れる人、それぞれの原因に対して適切なアプローチをすることに加え、それらの状態を総合的に改善させることにより、より効果的に生理痛を軽減させることができるのです。
より健康的で快適な毎日にするために、鍼灸治療を取り入れてみてはいかがでしょうか?

②更年期障害

更年期障害って?
 更年期障害とは、中年期(45歳~65歳:厚生労働省区分)になることで加齢によりホルモンの分泌に変化が起き、体内のホルモンバランスが崩れ、それが原因によって起こる様々な体の不調のことです(図2参照)。「女性がなるもの」としたイメージがありますが、男性にも起こります(図3参照)。

主な症状
 現れる症状は人それぞれですが、女性の場合、特徴的なものはホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)・頻脈・動悸などの自律神経症状(の中でも主に血流に関係する症状)です。他にも、めまい・多汗・倦怠感・疲労感などが起こり、精神症状としてヒステリー・情緒不安定・抑うつ気分などが起こることがあります(図1参照)。
男性の場合、男性更年期障害(LOH症候群)と呼ばれ、勃起障害(ED)・抑うつ気分・睡眠障害などが起こるとされます。症状だけ見ると、うつ病や動脈硬化などで現れる症状と類似しており鑑別しにくいので、男性更年期障害の認知度はあまり高くないのが現状です。

原因
 女性の場合、卵巣の機能が低下することによりエストロゲン(卵胞ホルモン:女性ホルモン)の分泌が低下して起こります。ですので、女性が更年期障害で悩まされるのは閉経の時期とほぼ重なります。また、同時期に、エストロゲンの分泌が減ることが原因で骨密度が下がり、膝の痛みを訴える女性の数が増え始めます。ホルモン分泌低下の悪影響は女性の方が大きく、更年期障害の様々な症状で苦しんでしまうのも、女性の方が多いです。
男性更年期障害の場合、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が低下することが原因とされます。
このような加齢やエストロゲンの欠乏といった身体的ストレスに加えて、性格などから由来する心理的因子、仕事や家族関係(家庭環境)などに起因する社会的因子が重なって関与します。更年期障害は一種のストレス性疾患とも考えられています。


病院に行くのなら
 更年期障害の治療をされるのは女性が多いので、かかる科目は婦人科が多くなります。男性であれば、現れる症状によって内科・泌尿器科・心療内科などが選択されるようです。血液検査などが行われ、ホルモンの分泌状態を確かめます。何科にかかるにせよ病院では、主にホルモン補充療法(HRT)が行われます。また、漢方薬が処方されることも多いようです。

自分でできる更年期障害の対処法
 年齢を重ねた人の全員が更年期障害になってしまう訳ではありません。体質の他にも、体の状態や生活環境が異なることでホルモンの分泌量に差が出るからです。生まれ持った体質は変えられなくても、体の状態や生活環境を変えることはできます。体の状態とは肉体的な疲労や精神的なストレスなどであり、生活環境とは生活リズムや食事内容などのことです。
ホルモン分泌の減少が原因なので、不足しているホルモン(女性の場合:エストロゲン:大豆など、男性の場合:テストステロン:亜鉛など)をつくる基になる栄養はしっかり摂る必要があります。しかし、さまざまな栄養素が複雑に影響し合って人間の体の働きが保たれていることを考えると、必要とされるビタミンやミネラルだけをサプリメントでピンポイント的に補うだけではなく、バランスのとれた食事をすることが大切です。疲労回復とストレス発散のためにも、質の高い睡眠と適度な運動も大切です。

鍼灸院での治療
 鍼灸治療は心身をリラックスさせ、自律神経の働きを整えます。自律神経の働きがよくなることで、ホルモンの分泌がよくなります。さまざまな症状に対して対症療法的な治療も加えることで、効率的に「今の辛さを軽減させること」と「原因をなくすこと」に対してのアプローチができるのです。また、体の機能を回復させるためには、睡眠が必要です。鍼灸治療によって睡眠の質を高めることも重要です。

 QOL(生活の質)を改善させることは重要です。できれば薬やサプリメントに頼ることなく、自然治癒力を高めることや生活環境を整えることでホルモンのバランスを整え、より自然なかたちで症状の原因から改善させることが望ましいです。更年期障害かな?と思われたら、お気軽にご相談ください。
図1
図2
図3

③冷え症

原因
 冷え性は女性に多い症状です。個人差はありますが、女性の半数から7割近い方が冷えをつらいと感じています。女性は男性に比べると、熱を作り出す筋肉が少ない、皮膚の表面温度が低い、貧血や低血圧の人が多いことなどがその理由と考えられます。また、月経の影響などで、腹部の血流が滞りやすいといったことも、女性に冷え性が多い理由でしょう。
一般的に、血の流れが悪くなってしまう原因としては、血管周囲の状態の悪化(筋肉の緊張や周囲環境の温度の低下など)・自律神経の働きの低下・ホルモン分泌の不具合・栄養不足・運動不足などが挙げられます。ですので、冷え症を改善させるためには生活習慣の見直しも大切になります。

症状
 冷え症とは血行障害を原因とする愁訴で、主に手先・足先の末端が冷えてしまう症状のことです。症状が強くなると、しもやけやあかぎれを起こしてしまいます。血流障害の原因となる明確な疾患があればそれに応じた治療が必要になりますので、ここでは原因疾患のない、ごく一般的な冷え症について話を進めます。

自分でできる解消法
大切なことは、自分にできることを無理なく続けることです。夏でもエアコンが原因で体が冷えてしまうクーラー病などの心配もありますので、季節に関係なく気を付ける必要があるでしょう。自分でできる冷え性対策をいくつか簡単にまとめてみました。
⑴ホッカイロや腹巻を使う
 直接体を温めることができます。しかし、ホッカイロを使う時には低温やけどに注意しましょう。
⑵お風呂や半身浴・岩盤浴
 ぬるめのお湯にのんびり入ることで(高くない温度で時間をかけて温めることで)、体の深部まで温めることができます。リラックス効果で自律神経の働きも整います。
⑶ストレッチ
 筋肉を緩めることで血流を促進することができます。
⑷有酸素運動
 心肺機能を高め、血流を促進することができます。
⑸筋力トレーニング
 筋肉量が増えることで代謝が増し、体が熱を発生しやすくなります。
⑹適切な栄養の摂取
 例えば、冬が旬である根菜類には、体を温める働きのある栄養素が多く含まれています。生姜(しょうが)などは有名ですね。

鍼灸院での治療
 鍼灸治療は自然治癒力を向上させる治療であり、自然治癒力を向上させることは血流を改善させることを基本としているので、冷え症の改善にもつながります。同じ血流が悪いという状態に対しても、その人それぞれの理由があります。その理由を考え、最も適した治療を行うことで、より早い症状の改善を目指します。
冷え症は低体温状態にもつながり、免疫機能低下の原因にもなってしまいます。しもやけ・あかぎれで辛い思いをされている方、冷え症を何とかしたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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