原因と症状《生理(月経)前》 排卵後、女性ホルモンの一つ黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量は急激に増えます。そして、受精卵が着床せずに生理が起こると一気に減ります。この大きな変化で、身体をコントロールする自律神経がバランスをくずし、頭痛や胃痛、イライラなどの不調を引き起こします。
また、黄体ホルモン(プロゲステロン)は、乳腺を発達させる、体温を上げる、体内の水分を引き出すなどの作用もあるため、乳房が痛くなったり、だるさや下半身のむくみも起こりやすくなります。
生理の1~2週間前から生理が始まるまであらわれるこれらの症状は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれています。
痛みなどの不調の要因 …プロスタグランジン
「プロスタグランジン」はホルモンに似た物質で、子宮を収縮させ、子宮への血流を減少させ、子宮内の神経を痛みに敏感にさせる作用があります。
その他にも痛みの発生、免疫やアレルギー、睡眠にも関連することが知られています。
~起こりやすい不調~
・下腹部の鈍痛やキリキリした痛み
・めまい
・吐き気
・下痢 etc
《生理(月経)後半》 骨盤を中心に血液の流れが悪くなり、下腹部の鈍痛や腰回りの重苦しい感覚を引き起こします。
痛みなどの不調の要因… うっ血(血液の流れが滞ること)
~起こりやすい不調~
・下腹部鈍痛
・腰のだるさ
・冷え
・むくみ etc
月経困難症とは? 月経痛が強く、日常生活に支障をきたす場合を月経困難症といいます。
腹痛が強いため、鎮痛剤が必要であるとか、仕事ができないような場合は月経困難症といってよいでしょう。
腹痛、腰痛、悪心(気持ちがわるくなる)、嘔吐、いわゆる貧血(血液がうすくなっているわけではないがフラフラする)、頭痛、頭重、食欲不振などがよくある症状です。
月経困難症には下記の2種類あります。
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原因 |
機能性月経困難症 |
特にこれといった病気がなく起こる月経痛 |
器質的月経困難症 |
子宮筋腫や子宮内膜症などの病気によるもの |
病院に行くのなら 婦人科もしくは産婦人科が専門になります。
生理痛が強い場合には、器質的月経困難症(子宮筋腫・子宮内膜症など)が原因としてある場合も多いので、あまりにも痛みが強い場合には一度病院にて検査を受けたほうがよいでしょう。
月経痛(生理痛)は、子宮内で月経血を押し出そうとするホルモン(プロスタグランジン)の働きによるものです。このメカニズムは、陣痛とほとんど同じなので、多少の痛みは生理的な現象です。
しかし、月経痛によって、仕事や学業能率の低下や生活に障害が出る場合は、婦人科で検査を受けるタイミングです。
それに、年単位で痛みが増強する場合、月経時以外に疼痛がある場合も、婦人科に相談しましょう。
自分でできる解消法 ⑴適度な運動は月経痛軽減に効果があります 骨盤の血流の流れがうっ滯する「うっ血」は、月経痛を強くすることにつながります。
これを改善するために適度な運動は有効です。月経の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミング、あるいはヨガやエアロビクスなど、を行いましょう。もっと簡単な全身の屈伸運動などでも効果があります。
⑵冷やさないこと 特に下腹部と仙骨部を冷やさないことが大切です。腹巻・ホッカイロなどで下腹部と仙骨部を温めることがをおすすめします。
⑶食事内容と生活習慣の改善 食事内容や生活習慣により、ホルモン分泌なども関係してきます。なるべくリラックスすること、鉄分やタンパク質を摂取することなどが挙げられます。
鍼灸院での治療 鍼灸治療は自然治癒力を増進させる治療ですので、筋緊張緩和・血流改善・自律神経の安定化・ホルモン分泌を整えるなどの効果があります。筋肉の固い人・冷えの強い人・イライラしやすい人・生理周期が乱れる人、それぞれの原因に対して適切なアプローチをすることに加え、それらの状態を総合的に改善させることにより、より効果的に生理痛を軽減させることができるのです。
より健康的で快適な毎日にするために、鍼灸治療を取り入れてみてはいかがでしょうか?